デジタルでイラストや漫画などを描くときに使う道具として、まずペンタブレット(板タブ)と液晶タブレット(液タブ)が出てくると思います。確かにそれらは絵を描くうえで必要になってくるものですが、それを使うにはまずパソコンが必要です。ではそのパソコンを買うには何を買えばいいのか、どんな性能の物を買えばいいのか、という疑問が出てくるかと思います。
イラストを描き始めてある程度パソコンを買い換えてきたので、個人的に感じていることを踏まえてどんな性能の物を買えばいいのかを考えてみたいと思います。
現在使用しているパソコン
今使っているパソコンは、パソコン専門店のTSUKUMOで販売されているゲーミングパソコンを少しカスタムして使っております。
スペックは以下の通りです。
CPU | AMD Ryzen 5 5600X | ||
メインメモリ | 32GB(DDR4-3200) | ||
グラフィック | AMD Radeon RX 6700 XT(ビデオメモリ12GB) | ||
ストレージ | 1TB SSD(M.2規格 / NVMe Gen4接続) |
ゲーム「DEATH STRANDING」とのコラボケースを使用しているミドルスペックのゲーミングパソコンです。
スペック表だけをみてもパソコンがわからない人からみたらどのような性能なのかわからないと思いますが、イラストを描くことだけに焦点を置いた場合ですと”ここまでの性能はいらない”です。
キャンバスサイズや解像度を無駄に上げた状態で、なおかつレイヤー数が数百枚以上ある状態で描いてる時でないと、その性能は発揮できないでしょう。より複雑な計算が必要になるゲームや3Dモデルの作成などにも使えるものなので、イラストに関しても十分すぎる性能となっております。
イラストを描くのに必要な性能とは?
イラストを作成するには絵を描くためのペイントソフトがあります。有名なものですとCLIP STUDIO PAINT・Photshop・SAIなどがあります。
新規で始める人なんかはCLIP STUDIOを選ぶ人が多いと思います。ではCLIP STUDIOで絵を描くために必要な性能とはどのようなものでしょうか?
CPU | SSE2に対応したIntel、AMD製CPU |
メモリ | 2GB以上のメモリ必須 8GB以上推奨 |
グラフィック | OpenGL 2.1に対応したGPU |
ストレージ | 3GB以上の空き容量のあるストレージ |
こんな感じですね。Photoshopよりは少し要求が低いです。
書いてあることはよくわからないと思いますが、2022年に家電量販店で売られているパソコンなら問題なく動くと思います。変な風に小型化されてるパソコンを買わなければ、たぶん大丈夫です。タブレットでも描ける時代ですからね。
グラフィックボードなんかも正直ほとんどいりません。絵を描くにはCPUの性能が一番で次にメインメモリです。それ以外は特に必要もないので性能が低くても問題ありません。ただしグラフィックボードは場合によっては必要になります。
どんな時に性能が低いと感じるのか?
絵を描いているとペン先にポインターがついてこなかったり、描いたはずなのに表示されるまでに時間がかかったりと不満を感じる時があると思います。それはどんな時でしょうか?だいたい以下のものに当てはまると思います。
- 古いパソコンで性能が悪い
- キャンバス・解像度が大きすぎる
- 複雑な描写のブラシを使っている
- レイヤー数が多すぎる(例:500枚~)
- 機材を変えてパソコンの性能が足りなくなった
です。
ではそういう場合はどうしたらいいのでしょうか?
パソコンの性能が悪い場合
元も子もありませんがパソコンを変えましょう。パーツ交換でもなんとかなりますが、そういう人たぶんもうやってます。もしかしたらメモリの交換で何とかなるかもしれませんが…。
キャンバス・解像度が大きすぎる
始めたばかりの人はキャンバスサイズなどもわかりませんから、無駄に大きくなることもあるのはわかります。ラクガキをしてる時は線しか描かないので体感できませんが「色を塗り始めたら急にパソコンの動きが悪くなった」なんてことはあると思います。
複雑な描写のブラシを使っている
複雑な描写をするブラシはCPUに負荷がかかるので、良いCPUを載せているからといっても遅くなることがあります。1度に数十個の線を描いたりするのでコレに関しては仕方がないですね。CPUを変えることで解消することがあります。
レイヤー数が多すぎる
レイヤー数が多い場合でもブラシと同じようなことをレイヤーで行ってるだけなので、まずはレイヤー数を見直して減らしていきましょう。ブラシと違って減らせばいくらでも軽くなるので、いらないものは結合して一つにしてしまうといいでしょう。
機材を変えてパソコンの性能が足りなくなった
性能の良い液晶タブレットなんかを買った場合に起きることがあります。
先ほど「グラフィックボードはいらない」と言いましたが、ここで必要になってくるのがグラフィックボードです。
グラフィックボードは映像を出力するのに使う部分です。映像をモニターに映すために使用するわけですが、4Kモニターなどの良いモニターを使う時はそれ相応のグラフィックボードが必要になってきます。なので何も考えずにモニターを交換した場合は、それが原因で処理が遅くなる場合があります。僕もモニターを買い替えたときに4K表示にしたら、線画ですら描くことが難しくなってしまいました。そのために買ったゲーミングパソコンというわけですね。
もし4Kモニターにした途端動作が重くなったと感じたら画面サイズを変えて使用することをオススメします。4K買った意味がなくなりますが…。
前まで使っていたパソコン
AppleのMacBookPro 2016です。
普通の人はこのパソコンと同じ性能があれば何不自由なく絵を描くことができます。4Kモニターが使えないから買い替えただけなので、モニターを買わなければ現役でも問題ないパソコンでした。
では性能を見てみましょう。
CPU | intel Core i7-6700HQ 2.6GHzクアッドコア |
メインメモリ | 16GB 2,133MHz LPDDR3 |
グラフィック | Radeon Pro 450(2GB GDDR5メモリとグラフィックス自動切替機能を搭載) |
ストレージ | 256GB PCIeベースオンボードSSD |
ザックリいうと今使ってるゲーミングパソコンの半分以下の性能です。グラフィックに関して言えば圧倒的に違いますが。
とはいえ普通のモニターを使用して絵を描く分にはこれでも十分な性能を持っております。なのでこれよりいいパソコンを買えば良い、ということになります。ではどんなパソコンがいいのでしょうか?
個人的にオススメだと思う機種を上げていきます。
Apple M1 Mac mini
価格・性能で見るとM1 Macminiは最適です。
先ほど上げているMacBookPro 2016と比較した場合、だいたい1.5倍くらいまで性能が上がっております。そして何よりも価格が安い。一番安いモデルだと10万円いきません。MacBookPro2016が17万円くらいしてたのを考えるとコストパフォーマンスに優れたとてもいいパソコンですね。
ただしメモリに関しては8GBに落ちていますので、もしかしたら処理が遅くなるかもしれません。ちゃんと描くぞ!という方はApple公式ホームページからメモリを8GB→16GBに組み替えてもらうといいでしょう。ただし少し値段が上がります。
Apple M2 Mac
現状ですとMacBook Air とProにしか載せられていないCPUですね。M2 Mac miniが間もなく発表されるとかされないとか言われておりますが、発売されたらM2 Mac miniがコストパフォーマンスに優れたパソコンになると思います。
性能的にはM1 Macよりもちょっとだけ性能が上がった、という感覚のものになっております。M1シリーズの上位機種であるM1Pro・M1Max・M1Ultraというものがありますので、基本的にこっちの方が性能は良いです。ただし値段は最低でも27万円くらいなので簡単には手が出ませんね。
しかし絵を描くうえで必要になる重要な性能はシングルコア性能と呼ばれる部分になります。M2チップのシングル性能はとても高く、M1シリーズよりも性能が良いので絵を描くだけだったら最適解なわけですね。僕が使っているパソコンのよりも性能が良いので、個人的にもM2 Macは気になっております。
G-GEAR Aim GB5J-B221/B
僕の使っているパソコンを買ったTSUKUMOで販売しているゲーミングパソコンです。Core i5-12400搭載モデルが税込み16万円で販売されております。シングルコア性能も僕の使っているものより少し良い性能をしています。
TSUKUMOはヤマダ電機と合併していますので、ヤマダ電機でも売ってる場合があります。大手の家電量販店でも取り扱っておりますので、初めてゲーミングパソコンを買う方にも安心感がありますね。一度見てみるといいかもしれません。
まとめ
今回はイラストを描くのに必要な性能のパソコンについて書いてみました。
特に可もなく不可もなくな内容になってしまっているので、ここから先は個人的に必要十分と感じているスペックの物をまとめていきます。
CPUはCore i5・Ryzen5・M1Mac以上
メモリは16GB以上
グラフィックボードはVRAM4GB以上
ストレージは500GB以上
CPUは今のCore i5かRyzen5以上ならシングル性能が高いので何買っても問題ありません。ですので5がつくやつを選べば十分です。
メモリ16GB以上のものを選ぶのは、ペイントソフトを起動している間に使用しているメモリの量が12GBまで膨れ上がっているためです。12GBまで使っていますが、そこから16GBまでに使用量が増える、といこうはまずないので32GBとかはいりません。
グラフィックボード4GBは4Kモニターを表示できる性能を持っているためです。これがあれば大抵のモニターを使用することができます。ただし4K液タブでの使用を想定している場合は足らなくなる場合がありますので、もうちょっと性能の良いものを買っておくと良いでしょう。
ストレージはデータの保存に使われる容量です。256GBだと専用機でもない限りはすぐにいっぱいになってしまいますので、500GBはあった方がいいです。1TBが普通になりつつあるので1TBあるものを買うのもいいですね。
正直なはなし、今のパソコンの性能にペイントソフト側がついていけてない部分が増えてきております。性能の良いCPUを積んでいても、実際に使用している容量は数十%程度ですし、メモリにいたっては12GB以上使うことなんてほとんどありません。むしろソフト側が足を引っ張っている可能性すらあります。
ですので深く考えずに気に入ったパソコンを買うのが一番だと思います。
予算を考え、それで使える範囲の中で一番良いパソコンを買うのが一番の近道になると思います。好きなパソコンを買って良いお絵かきライフを!