左手デバイスである「LOUPEDECK CT」を使い始めてやく1年半が経ちました。
前回のLOUPEDECKの解説から1年経ち、さまざまな仕事を行うことで自分の使い方の最適解がみつかりましたので、今回はそれをまとめていこうかと思います。おそらくは基本的な使用方法は今の形から大きく変わることはなく、必要なショートカットを随時更新していきながら描画速度を速めいていくような感じになるかと思います。
LOUPEDECK CTをCLIPSTUDIOで使用した最初の解説はこちら
LOUPEDECKとは
フィンランドにある会社で、主に写真の編集や映像制作用途向けに機材を作っている会社です。
最初はLOUPEDECK+という写真編集をメインに扱う製品を開発しておりましたが、それ以降のLOUPEDECKシリーズは何にでも使えるように汎用性に優れた製品を開発しています。
LOUPEDECKの特徴といったらタッチスクリーンです。これのおかげでショートカットやコマンドの登録数が物理ボタンのみの機器よりも多く設定できるところです。
LOUPEDECK CT
サイズ・重量・システム要件(公式より抜粋)
- 365g
- 160x150x30mm
- Windows10 またはそれ以降
- MacOS10.15 またはそれ以降
- LOUPEDECKソフトウェアをダウンロードできるインターネット環境
- USB-C or USB-A 接続ポート
- 8GBフラッシュメモリ
互換性のあるソフトウェアとしてAdobeシリーズやダビンチリゾルブなどの動画編集ソフト、TwitchやOBS Studioなどの配信ソフトなどにも対応しております。
外観
LOUPEDECKのロゴなどが入っている茶色の厚紙に入っております。
外箱を開けると中に黒色の全面にロゴが入った箱が出てきます。
黒い箱を開けるとこんな感じにLOUPEDECK CTが入っております。
フェルトのような布地のついた厚紙にピッタリと収まっております。
LOUPEDECK CTを取り出したあとの箱。
下にパソコンと繋ぐUSB-Cケーブルが入っております。ちゃんとUSB-C→USB-A変換コネクタも付属しておりますので自分のPCに合ったもので接続しましょう。
LOUPEDECK CT本体の外見はこちら。使用可能な箇所は以下の通りです。このボタン・タッチスクリーンに様々な機能を割り当てて使うことになります。
機能
- 物理ボタンx26
- クリック感のある小さいダイヤルx6 (それぞれ押し込みボタンとしても使用可)
- クリック感の無い大きいダイヤルx1
- タッチスクリーンx2(筐体上部と大きいダイヤルの上面)
物理ボタンにある「ホーム・エンター・キーボード・Fnボタン」については、最初から決められているボタン以外の割り当てはできませんので注意してください。
それぞれの物理キー(●と◼️)にはFnキーを押している間だけ別のショートカットを使える機能が備わっていますので、1つのボタンに2つの機能、16個のボタンが対応しておりますので合計で32個の割り当てが可能です。
この中にはエンターキーも含まれており、Fnキー+エンターキーは【ESC】となります。
キーボードキーを押している間は、●ボタン下部に記載されているキーボードの修飾キーが使用可能になります。
タッチスクリーンのボタン配置はこうなってます。
中の4x3の合計12個のボタンは直接タッチすることでショートカットを使用できます。
このタッチスクリーンは”ページ”と呼ばれる一枚のショートカットの集合体になっており、左右にスワイプすることで、2枚目、3枚目とページをめくっていくように違うショートカットを呼び出すことができます。
このページ数は全部で14枚まで増やすことができますので、そのすべてを使用した場合は168種類ものキーを割り当てることができます。
左右端の縦位置はダイヤルに割り当てているショートカットを表示しております。ダイヤルを回す2方向と押し込んだ時の1個、合計で3つのショートカットを1つのダイヤルに割り当てられます。
また、このダイヤルのショートカットもタッチスクリーンと同じで上下にスワイプすることで2枚目、3枚目とページを切り替えることができます。
LOUPEDECK CT以外のLOUPEDECKがタッチスクリーンメインな理由がよくわかりますね。
あまり知られていませんが、押し込みボタンの操作はタッチスクリーンのダブルタップで使用可能です。
もし物理ボタンが壊れたとしても機能性は減りませんので安心してください。
昔はワンタップでできましたがアップデートでダブルタップに変更されました。それにより知っていた方も使用不可になったと思い込んでいるのを見かけました。
デバイス構成からはフラッシュドライブのオンオフ切り替えが可能です。これをオンにすることで8GBのフラッシュメモリとしても使用できます。通信速度は速くはないので使用する場合はLOUPEDECKのプロファイルを入れておくくらいがちょうど良さそうです。
タッチパネルを押した時のバイブレーション機能も切り替えられますが、これをオフにすると切り替わっているかいちいち確認しないといけなくなるのでオンにしておくことを推奨します。
対応してないソフトについて
LOUPEDECKは対応していないソフトやアプリでも使用することができます。
このように対応していないアプリケーションをLOUPEDECKソフト内で追加できます。
「アプリケーションを追加」を押すとこのような画面が出てくるので、自分の使用したいアプリケーションを選択します。
ここにでてくるアプリケーションは、おそらくLOUPEDECKソフト内で見つけられたアプリケーションのみとなります。
CLIP STUDIOはこちらから選択できますが、イラスト作成ソフトのCLIP STUDIO PAINTの方はCELCYSのフォルダ内に格納されているため、こちらには表示されません。
そういった場合は「アプリケーションを選択」の右側にある虫眼鏡付きのフォルダを押し、自分の探しているアプリケーションを選択してあげましょう。
成功すると、最初のスクリーンショットのようにアプリケーションを選択することができるようになっております。
LOUPEDECK CTを使う
基本的な構え方はこうなります。LOUPEDECK CTの標準的な使い方と同じに形に落ち着きました。
これにより、親指で右側のボタン、人差し指・中指。薬指ででタッチスクリーンと●ボタンを押します。薬指でダイヤル左側のボタンを押して使います。小指は基本的に使いません。
これは以前使っていたRev-O-mateという左手デバイスで使用していた感覚に近く、指も広げたり閉じたりするだけでそれぞれのボタンにたどり着けるためこの形になりました。
また、メインの大きいダイヤルの位置も特に変わらず、親指と人差し指でダイヤルを動かすことができるのも重要な要因です。
Rev-O-mateと比べたらダイヤルの高さが足らないので、机に直置きする場合は少し操作しづらいですね。
去年はこの通り画面に取り付けており、左側のダイヤルを軸に使用しておりました。この使い方だと筐体右側のボタンが全て使いづらくなるので無駄が増えてしまいます。また、小さいダイヤルの押し込みボタンは硬く、若干強く力を入れないといけません。そして前回の記事でも書いたダイヤルのクリック感が大きな問題となります。
結論からいいますと、左右のダイヤルにあるクリック感は『消耗』します。半年ほどこの持ち方で使用しておりましたが、拡大・縮小を割り当てていたダイヤルは他のダイヤルの半分くらいの硬さまで減りましたので、数年使えばクリック感はなくなると思います。場合によっては故障の原因にもつながってしまいますね。
メインの大きいダイヤルの方はクリック感がなく、無限に回り続けるタイプなので消耗の激しい使い方をしても壊れることは少なくなります。
また、メインのダイヤルはこのようにタッチスクリーンでダイヤルの機能切り替えも可能です。青色の線がある部分がダイヤルで使用する割り当てになります。ですので、この部分だけで基本的なダイヤルを使う操作は完結できます。もちろんタッチスクリーンなので”機能”の項目で言った通りの”ページ”もありますので、スワイプで切り替えることも可能です。
LOUPEDECK CT自体はBoYataのタブレットスタンドに載せて使用します。これのために作ったかのようにピッタリハマります。詳しくは以前の記事を見てください。
CLIP STUDIO PAINTで使う
CLIP STUDIO PAINTで使用する場合はこの設定がメインになります。ちなみにこの最初のページのことを”ホームスペース”といい、機能紹介で説明したホームボタン(◼️ボタン左上の緑色の○)を押すことで瞬時にこの配置を呼び戻すことができます。
そしてタッチスクリーン上部の緑色の「線画・塗り・漫画・アニメ」は、それぞれの名前の作業をする時に使用する”ページ”を呼び出します。
それにより、それぞれに特化した割り当てを瞬時に切り替えることができます。
ここで1つ注意しなくてはなりません。
LOUPEDECKの物理ボタンの設定は1つのプロファイルにつき1つの設定しかできないため、ページを呼び出したとしても物理ボタンの割り当ては変わりません。
ですので、物理ボタンに必ず使うブラシや戻る・進むといった基本的な機能を割り当てておくと良いでしょう。
物理ボタン&ダイヤル設定。メインダイヤルのタッチスクリーンも基本動作に組み込んでいるので全て共通でこの並びになっております。
薬指は戻るを中心に操作し、中指は消しゴムに置いてタッチスクリーンを素早く押せるようにしています。タッチスクリーンは大体中指。メインダイヤルは人差し指と親指で動かし、ダイヤル内のタッチスクリーンは親指で押します。ダイヤル右側は全て親指です。
【線画】のタッチスクリーン設定です。最初はここから始めてそれぞれ次の方へ移動できるようにしています。
【塗り】のタッチスクリーン設定です。選択範囲や塗りつぶしを多用するので主にそういう用途です。
また、カラーイラストは全体を見ながら色も変更していきますので、色の調整をしやすいように割り当てています。
【漫画】のタッチスクリーン設定です。漫画は【線画】設定から無駄なものを排除し、【塗り】と同じボタンを流用してベタ塗り等をしやすくしています。
こちらも選択範囲を多用するのでこのような配置になっております。
斜線等はその場面ごとに自分で選ぶ必要があるので、あえてボタンを割り当てておりません。
【アニメ】のタッチスクリーン設定です。基本的には線画の設定になっております。それに加えて描いているアニメの再生/停止ボタンを追加したり、アニメーションの最初や最後に飛べるボタンを割り当てています。オニオンスキンは今描いてる前後のコマを表示させて繋ぎのアニメーションを作りやすくする機能のことです。結構線がはっきりとしているので、頻繁に出したり消したりします。
今はまだ作っていませんが、アニメの色塗り用のページも作る予定です。
まとめ
1年半という時間をLOUPEDECK CTとともにイラストや漫画、アニメなど作ってきました。1つの端末で様々な機能を自分好みに設定することができるLOUPEDECK CTはもはやなくてはならないものになりました。
しかし、あまりの自由度の高さ故に受け付け難いのも確かです。
気になるけど難しそう、と考えて手が出せない人や買ったけど使いづらいと思っている方の参考になれば、と思います。
一度使い込んでしまえば他の左手デバイスでは太刀打ちできないような力を秘めているのは確実ですので、どんどん自分の使いやすいように育て、素晴らしい作品を生み出していきましょう。